『サイコパス』中野信子著:サイコパスってなに?接し方は?
皆さんこんにちは。まだ少し肌寒い日が続いていますが、もう4月になりました。そして昨日は4月1日、エイプリルフールでした。毎年のように、様々な企業が競ってユーモアのある嘘をついていますね。エイプリルフールは、嘘が許される日。裏返せば、エイプリルフール以外では嘘をついてはいけないということです。しかし、世間には少しも罪悪感を感じることなく嘘をつく人間がいます。彼らはしばしば、“サイコパス”と呼ばれます。最近になってよく聞く言葉ではありますが、そもそもサイコパスとはどんな人間なのでしょうか。彼らに対してどう接すればいいのでしょうか。そんな問いに答えてくれるのが中野信子さんの『サイコパス』です。
それでは、残忍なサイコパスについてこの本であげられている例をみてみましょう。
マサチューセッツ州の看護師ジェーン・トッパンは、職場では快活な性格で人当たりがよかったため、「ジョリー・ジェーン」(陽気なジェーン)と呼ばれていました。
しかし、ジェーンには裏の顔がありました。彼女は1895年から1901年までの6年間、自分が勤めるケンブリッジ病院の患者に対して、致死量のモルヒネを打っていました。もちろん、誰にも見つからないようにしながらです。(中略)殺された被害者は少なく見積もっても31人にものぼりました。
(中略)彼女は逮捕されたあと、「何のためにやったのか」と尋問され、「何とも思わない」と答えています。
けれども彼女は殺人をしているときだけは、エクスタシーを覚えていたそうです。罪悪感はなく、恍惚だけがあったのです。
サイコパスと聞いて多くの人が考えるのは、このような残忍で予測不能な殺人犯なのではないでしょうか。しかし、中野信子さんによると、サイコパスは必ずしも社会的に悪であるとは言えません。
サイコパスであったほうが豊かな生活をおくることができ、サイコパスが普通のことであるととらえられる社会の例として、このようなことが述べられています。
ブラジル北部からベネズエラ南部にかけての熱帯雨林地域に住む、ヤマノミ族というのがいます。
彼らは1日3時間ほど労働すれば食べていけるような豊かな土地にすんでいます。
そして、争いが頻繁に起こります。男性の死因のなんと30%が暴力によるものであり、25歳こえる男性の44%に殺人の経験がある部族なのです。殺人のトリガーになるのは、性的な嫉妬が多いそうです。
しかも、ヤマノミ族においては、殺人をすることで集団内での地位が上がります。殺人をおかして地位を得た男と、殺人をしていない男の数を比較すると、前者の平均は1.63人、後者は0.63人。殺人をおかしたほうが女を獲得しやすい社会なのです。
さらに子供の数を見てみると、前者は平均4.91人、後者は1.59人と、やはり大きな差がついています。ヤマノミ族の繁殖適応度の高い男たちは、サイコパスの特徴と、やはり酷似しています。
ちなみにヤマノミ族は乱婚で、一夫一婦ではありません。生まれた子供を育てるか、それとも殺してしまうかは、出産した母親の判断に委ねられます。それについては誰も介入しません。もし殺してしまうのであれば、へその緒がついたままのあかちゃんを蟻塚に放置し、大量のシロアリに食わせてしまいます。
このように、サイコパス的な特性を持つ人々が異性にもて、社会的に高い地位につくような社会があります。つまり、サイコパス的な特性が普遍的な社会悪ではないのです。
偉業をを成し遂げ歴史に名をのこした人々のなかにも、サイコパスはたくさんいたようです。天下統一の足掛かりをつくった織田信長や、あのマザー・テレサもサイコパスであった可能性が高いです。サイコパスを悪だと決めつけて、ただ排除することはできないのです。そんな彼らとどう接していけばいいのか、そして、もしあなたがサイコパスなら、どうやったら“勝ち組サイコパス”になれるのか。そんなことが中野信子さんの『サイコパス』には書かれています。